増加する現代病~アレルギー~
1960年代ぐらいまでは、日本人にはなじみの薄かったアレルギー。
1970年代頃より、花粉症やアトピー性皮膚炎をはじめ、食物アレルギー、金属アレルギー、ぜんそくなど様々なアレルギー疾患が増加し、現在では日本人の3人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われています。これは環境の悪化などだけではなく、食生活の変化が大きな原因と考えられています。
特にアレルギーに代表されるアトピー性皮膚炎や花粉症は、1990年(平成2年)前後に患者数が急増しています。ちょうどこの頃は、コンビニやハンバーガーなどを子供の頃より利用するなど、食生活が大きく変わってきた時期なのです。つまり和食から洋食へ、そしてファーストフードへと移り、魚や野菜等の摂取が減少したことがアレルギー増加の一因だと言われています。
なぜ免疫は暴走するのか?
免疫はウィルスなどの外敵やがん細胞などの体内の悪いものから体を守るシステムです。
免疫が低下すると、ウィルスなどの侵入を許して風邪や肺炎などの感染症やがんを引き起こす原因になります。
アレルギーは、まさにこの免疫の暴走によって引き起こされる病気なのです。
つまり、本来は反応しなくて良い物質に対して、免疫細胞が過剰に反応して炎症が起こる病気なのです。そのために、かゆみや腫れ、さらに炎症に伴って鼻水、ぜんそくなどの症状が現れます。
この暴走の原因は、体質的な要因や環境要因などもありますが、食生活を改善することで、良くなることが分かってきました。
アレルギー対策のヒントは食にあり?
アレルギーが少なかった時代の食事は、魚中心のおかずに納豆やみそ汁、わかめなどの海藻類や山菜、キノコ類が食卓をにぎわせていました。何気なく作られていたこれらの食材は、体内の免疫システムを調整してくれ、細胞ひとつひとつを丈夫にし、細胞が壊れにくく炎症やアレルギー反応を起こしにくい状態を作りあげていたのです。
決してアレルギーになる食品を控えるということだけでなく、和食を中心にした食事にアレルギー対策のヒントがあるのです。
食でできるアレルギー対策
・腸管免疫正常化:全身の免疫を正常にし、過剰な反応を起こさなくする。
・細胞強化:アレルギー物質に対して強い細胞を作る
・抗炎症:炎症物質の発生をおさえ症状を緩和する
腸で免疫をコントロール~発酵食品~
アレルギーは、免疫が暴走している状態です。では体の免疫システムのコントロールタワーはいったいどこにあるのでしょうか?
実は免疫細胞が3分の2も集中している場所があります。そこは「腸」です。腸には「腸管免疫」という免疫組織があり、全身の免疫をコントロールしています。
そして、その最前線では体に必要なものは取り入れ、不必要なものは排除するというガードマンの役割をしています。
しかし腸内環境の悪化によりこの最前線が破綻してしまうと、アレルギー物質の侵入を許してしまうのです。
腸を強化して免疫を調整
腸の環境を良くし、さらに腸管免疫を強化してくれるのが「発酵食品」です。発酵食品は、腸内の善玉菌を増やすと同時に腸管免疫を刺激し、腸管免疫の調整力を強化、過剰な免疫反応を調整してくれるのです。
つまりアレルギーの暴走をまさに最前線で防いでくれる食品なのです。
見直される魚のチカラ~EPA・DHA~
アレルギー反応は、何もアレルギー物質だけが原因ではありません。アレルギー症状には、実は「油」が重要な役割をしていることはあまり知られていないのです。
特に植物油の摂り過ぎには注意が必要です。
植物油に多く含まれるリノール酸は体内でアラキドン酸という生理活性物質に変化し、痛み、かゆみ、鼻づまり、鼻水などのアレルギー症状を増悪させます。
戦後の日本でアレルギーが急増した最大の理由は、欧米食の流入によりサラダ油を過剰に摂るようになったためともいわれています。
魚でアレルギーを抑える
炎症物質を減らす薬がアスピリンやステロイドですが、食べ物の中にも同じように炎症物質を減らすものがあります。それが魚です。
魚の油に含まれる「EPA・DHA」は、炎症物質を減らし、アレルギー症状を緩和してくれるのです。
しかもEPA・DHAは治療薬に比べ格段に副作用が少ないのが特徴です。
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